トマトの概要
トマトの来歴
ナス科トマト属。
昼夜の温度差が大きく、雨が少なく乾燥した南アメリカ・アンデス山脈が起源。メキシコで改良され、紀元前1000年頃に栽培植物になったといわれています。16世紀に栽培種がヨーロッパに渡り品種改良され、17世紀にアジアや日本に伝搬。日本では当初は観賞用や薬用植物で、食用利用は明治時代からです。
栽培・採種している品種
私が栽培・採種している品種は、大玉トマトがアロイトマト(野口種苗)、中玉品種がメニーナ(自然農法国際研究開発センター)・サンマルツァーノ(つる新)、小玉品種がチャコ(自然農法国際研究開発センター)です。
トマトの自家採種
受精方法・交雑の注意点
他の品種との交雑が極めて少ない自殖性作物です。自家採種では、異なる品種と数メートル離す程度で交雑を防ぐことができます。人工交配を行えば確実ですが、面倒必要な技術力が高いため、私は異なる品種を離すだけにしています。
母本選抜の基準
家庭菜園なら母本として2~3株ほど選抜して採種します。採種果の基準は以下の通りです。
- 採種する株は施肥を控えて栽培し、最後まで健全な生育を示す株
- 生育が良好で着果がよい・波が無い株(第5果房まで着果すること)
- できるだけ病害がない株(モザイク病と萎凋病は種子感染の危険性がある)
- 果実の形、色、大きさ、肉質、硬さ、食味、糖度と酸味、日持ちなどが、品種固有の特徴を持った株(特性は互いに関連しているため、全てがよいものはない)
採種と保存
収穫・追熟
着果45~55日後の完熟果を収穫します。ガクの下まで果実全体が着色し、軟らかくなり始めた果実が対象です。上段の果房だと十分完熟していない場合もあるので、第1~3果房の完熟した果実を収穫します。画像はサンマルツァーノです。
トマトは品種や果実の大きさによって1果実当たりの種の量は様々です。おおよその目安ですが、ミニトマトだと20~30粒、大玉品種では100~200粒の種がとれます。完熟するまで株につけておいた方が種の充実はよくなりますが、裂果して腐りそうなときは完熟前に収穫して追熟します。追熟は軟らかくなるまで風通しのよい日陰で7日ほど置いておきます。
種出し
追熟した果実を切り、スプーンでゼリー状の部分ごとかき出します。そのとき、水が入らないように注意します。
発酵
かき出した種はゼリー状の部分ごとポリ袋に入れ、暖かい場所で1~2日発酵させます。発行はトマト自身が持っている酵素や酵母菌などによって進み、種のまわりのゼリー状物質が溶けて洗いやすい状態になります。ゼリーが溶けたら発酵完了です。
水洗い・すすぎ
果汁や果肉を水洗いします。水洗いしたら十分すすぎ、ゴミを流して沈んだ種を採種します。果肉やゼリー状物質の残骸は水に浮き、種は沈むので容易に分離できます。
発酵が不十分だと水洗いをしても種の周りにゼリー状物質が付着したまま状態になりますが、翌年に種をまいても発芽・生育・収穫は問題なくできました。ただし、3年もするとほぼ発芽しなくなりましたので、早めに使い切ってください。
乾燥
洗った種は水を切って、天日でその日のうちに乾燥させます。種が濡れていて生乾きの状態でコンクリートの上などの高温状態となる場所で乾かすと、著しく発芽を悪くするため注意してください。例えば、ゴザなどを敷いて干す、ネットに入れて物干しの風通しのよい場所で干すなどし、なるべく早く水分を飛ばします。この時、種どうしがくっついているので、生乾きの時にもみほぐすと種がくっつかなくなります。天日乾燥後は、2~3日ほど日陰で十分乾燥します。
保存
トマトの種は長命なので、低温・乾燥状態を維持すれば、5年程度は高い発芽率を保つことができます。
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