ツケナ類の概要
来歴
アブラナ科アブラナ属。
ツケナ類は園芸上の名称で、アブラナ科アブラナ属の葉が結球しない野菜の総称です。具体的には、コマツナ、和種・洋種ナバナ、カブナ、キョウナ、タイサイ、不結球ハクサイ、如月菜、カラシナ、タカナ等です。キャベツや白菜は結球するので含まれません。
原産国は地中海沿岸、中央アジア、中国など諸説ありますが、中国が有力です。来歴時期は不明ですが、古事記に記載されているので古い野菜です。現在も、地域の気候と食文化に根差した地方独自の種類や品種が多数あります。
生育特性
生育適温は15~20度で、耐寒性の強いものや春まき出来るものも多いので、秋、または春に種をまいて栽培が出来ます。夏に種をまくと虫に食べられやすく、きちんと管理しないとまともに栽培できません。春よりは秋に栽培したものの方が育てやすく品質も良くなります。
採種栽培では秋まきし越冬させ、翌年春に開花・結実させます。
栽培・採種している品種
コマツナは新戒青菜(自然農法国際研究開発センター)、カブナは野沢菜(つる新)、キョウナは千筋京水菜(つる新)、如月菜はターサイ(つる新)などを栽培しています。
ツケナ類の自家採種
必要な株数
最低で10株は必要です。少ない株数で採種を繰り返すと、品種が弱体化して採種量が減ってきます。
母本の選抜
食用可能なくらいまで育成し、霜が降りる前に母本の選抜と移植を行います。
選抜する株は根を付けたまま掘り起こし、品種の特性が現れている株を選びます。不良株は取り除きます。移植は春作の邪魔にならない場所で行い、ひとまとめに密植します。冬を越さなければならないので、根元まで土を寄せて踏み固め、凍害を防ぐようにします。
耐寒性の強い品種はそのままでよいですが、耐寒性の弱い品種は不織布や寒冷紗などで被覆し保護します。写真はターサイです。非常に耐寒性に強く、マイナス10度にも耐えるので被覆はしていません。
越冬し抽苔し始めたターサイです。
交雑の注意点
非常に自然交雑しやすいので、近くにアブラナ科の花が咲く環境であれば、網や寒冷紗で囲います。囲わない方法としては、今年はコマツナ、来年はカブナ、再来年は如月菜というように、数年分の種を確保して毎年単一品種のみをローテーションし、周囲にアブラナ科の花が咲かないよう管理します。私は後者の方法で採種しています。写真は開花した様子です。芽がたくさん出ますので、開花前の菜の花を摘んで食べると美味しいです。
刈り取り
全体の7~8割が黄変し、鞘を割って種が褐色になっていれば刈り取ります。
鎌で根元から刈り取って、3~4日干し十分に乾燥させます。
種出し
シートの上、桶やバケツの中に乾燥した莢を入れ、叩いたり踏んだりして鞘を割って種を取り出します。
風でゴミを飛ばして調整します。
日光に当てると急激に水分が無くなり、種が割れることがありますので、風通しのよい日陰で2~3日乾燥させます。
種の保存
乾燥低温状態で保存すれば、3年程度は高い発芽率を維持できます。
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