【自家採種】キュウリの種を採る

キュウリ_乾燥中 自家採種

家庭菜園でキュウリの自家採種の方法を紹介します。

受精方法・交雑の注意点

キュウリは他殖性の強い野菜です。半径500mに他品種のキュウリが無ければ、交雑の心配はほとんどありません。しかし、近くに他品種が栽培されていると容易に交雑します。採種果は、開花前の雌花に袋がけをして交雑しないようにし、他の株の雄花と交配させます。同じ株の雄花と雌花で交配すると、品質特性は均一になりますが、自殖弱勢で親より生命力が弱くなるためです。私は各型で単一品種ずつしか栽培していませんので、自殖に任せています。

なお、カボチャ、メロン、スイカ等の他のウリ科作物とは交雑しません。

母本選抜の基準

他殖性なので、10株以上からの種とりが理想的です。家庭菜園で10株も栽培しない方は、3~5株程度から5年分の種をとり、冷蔵保存して使います。種は毎年更新しても構いませんが、株数が少ないと年々弱ってしまいます。

定植直後にアブラムシの発生が多く、葉の萎凋の激しいものは間引きます。

キュウリはどの枝に果実をつけるかで、飛び節成型と節成型の二つの草型に分類できます。草型は品種の適応土壌や作型に大きく影響します。

節成型の特徴としては、短側枝で着果がよく果実の肥大が速い、湿潤な肥沃土に適し、早まきして高温期に入る前に収穫が終了します。

飛び節成型の特徴としては、中~長側枝で葉が多く展開、高温乾燥に強く軽い土壌に適し、盛夏にタネまきして霜が降りるまで収穫できます。

適応環境と作型を考慮し、自分の畑の栽培に合う品種とタネとり用の株を選びます。キュウリの主要な病害は、うどんこ病、べと病です。収穫後半までこれらの病害の発生が少ない株からタネをとります。

タネをとる株のキュウリを食べてみて、好み(歯切れがよい、柔らかい等)に合ったものを選びます。土壌の水分や日の当たり方で食感が変わりますので、複数回食味してみます。

キュウリは飛び節成型と節成型で仕立て方が違うので、タネ採り用に交配する雌花の位置が違います。節成型品種は、親ヅルの13~15節に発生した小ヅルの第1節につく雌花に交配します。これらの子ヅルの生長点は葉を2枚残して摘み取ります。飛び節成型は、子ヅルについた地表から80cmくらいの高さの雌花に交配します。

タネとり用の果実は各子ヅルに1果のみ着果させます。1株につき2~3果つけ、その中で肥大がよく果形が正常なものを選び、残りは摘み取ります。

自家採種の方法と保存

翌日開花するつぼみが淡い黄色になった雌花に交配袋をかけ、自然交配を防ぎます。雄花はタネとり用に選んだ株、かつ、交配する雌花とは異なる株を選び採集します。採集した雄花は袋掛けする雌花の交配袋に入れておきます。

交配当日は、雄花の花粉が出ていることを確認し、早朝に開始します。雌花の交配袋を外し、雌しべに花粉を軽くなでるようにつけます。花粉は雨に濡れると死滅するので、雨が降った場合は雄花を濡らさないように傘をさして交配させます。

交配が完了したら、採種果だと分かるように目印をつけておきます。

交配後40~45日程度で果皮が黄色くなり、手で触ってやや弾力を感じたら収穫します。

キュウリ_採種果

採種果は収穫後7日程度、屋外の日陰に置いて追熟させます。追熟することで果肉内の養分が種に移行し、充実した種になります。追熟中に腐敗したものがあれば取り除きます。

キュウリは果実の花落ちに近い部分に充実した種が入っています。果実の上半分は種がほとんどしいななので、採種果の上部三分の一は捨てます。採種果を縦に割り、下部(写真の赤丸で囲ってある箇所)の種、果汁、ワタを一緒にボールにかき出します。

キュウリ_割った採種果

種をかき出すときに水が入ると発酵中に発芽するので、水を入れないように作業します。種出しに使用する道具は乾燥したものを使用してください。

かき出した種はポリ袋に入れ、ポリ袋の口を縛って1~2日常温で発酵させます。発酵によって種のまわりのゼリー状の被膜が溶けて、洗いやすくなります。

キュウリ_種の発酵

発酵した種をザルやボールに入れ、手でもみながら水洗いします。浮いたしいなやゴミを流して、沈んだ種だけを取り出します。

キュウリ_種の水洗い
キュウリ_乾燥中

日当たりがよく、風通しのよい場所で種を広げて天日で干し、時々かき混ぜながら2~3日乾燥させます。雨天時は室内で扇風機を使い種を乾かします。種を手で割ったとき、パチッと二つに割れれば乾燥完了です。

種は乾燥剤と一緒に密閉容器に入れて冷蔵庫で保存します。低温・乾燥状態で3~5年程度は高い発芽率を維持できます。

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