ダイコンの自家採種

ダイコンの種 自家採種
ダイコンの種

ダイコンの来歴

アブラナ科ダイコン属。

原産地は、地中海沿岸、中央アジア以西、コーカサス南部からパレスチナ、中国と諸説ありますが、地中海沿岸が原産地で、栽培品種が成立したのが中国であると考えられています。野菜の中では最も栽培歴が古く、古事記や日本書紀にすでに記載されており、すずしろとして春の七草のひとつに数えられるほど、日本人にはなじみの深い野菜です。各地の気候や土壌、栽培時期、用途に応じて多くの地方品種があり、日本では世界最大の桜島ダイコンや最長の守口ダイコンが誕生しました。全国各地で栽培される品種の数は野菜最多の150種を超え、自家採種の素材に恵まれている野菜です。

受精方法・交雑の注意点

他のアブラナ科野菜と同じように自家不和合性で、主に他家受精して種をつけます。ニンジン同様、50株程度の集団で採種栽培していれば、生命力の強い種を採り続けることが出来ます。ダイコンはダイコン同士の品種しか交雑せず、他のアブラナ科とは交雑しないので、比較的採種が容易です。別の品種から300m以上離すか、簡易網室を作って隔離採種します。私は、年毎に採種する品種を決めて単一品種のみ採種するようにすることで、交雑を回避しています。そのため、採種した種は次回採種するまで使いまわせるよう保存しておきます。

栽培・採種している品種

私が栽培・採種している品種は、赤口大根(つる新種苗)、ふじ宮重(自然農法国際研究開発センター)です。

母本選抜の基準

ダイコンの種は1さや2~10粒ほどで、1株から採種できる数が少なく、また母本数が少ないと年々草勢が弱まります。家庭菜園レベルでは50株は厳しいと思いますので、それでも最低15~20株の母本は準備したいところです。

根部

根の形状、色、肌のつや、ヒゲ根の出方など、外観形質が品種固有の特徴を持っているものを選びます。

草勢

立性や開張性、葉形や色、葉の切れ込みの深さなど、品種固有の草勢のものを選びます。また、ある程度の葉が茂っていて、かつ根の肥大や形の良いものを選ぶようにします。

早晩性

ニンジンと同じように、早晩性は根のしわの多少と尻のつまりを基準に選びます。根の先端まで肉付きがよくしわがなければ早生で、しわが多く先端が細ければ晩生になります。

母本の掘り上げと選抜

母本選抜は、収穫期に入ったら早めに行います。適期を逃すと移植も遅れ、母本の活着に影響します。根の選抜方法はニンジンと同じように、標準根を選ぶようにします。抜き取った母本は大きさ順に並べ、極端に長いものや短いもの、裂根、病虫害根を除きます。

ダイコンの母本選抜

ダイコンの母本選抜

葉にモザイク病が見られるものものぞきます。ダイコンは土壌条件によって根重が影響されるので、全体に太りが悪く短めの場合は、その中で最も目標に近いものを標準根にします。また、前の世代と比較してそろい性を確認してみるのもいいでしょう。

母本の移植と採種

母本の移植

移植は寒冷地で10月下旬~11月上旬、温暖地で11月上旬~中旬に行います。うね幅75~100cm、株間45~50cmで、日当たりをよくするため、母本を北側にやや倒して斜めに植え、

移植したダイコン

移植したダイコン

足でよく踏み土と密着させます。

植えなおしたダイコン

植えなおしたダイコン

寒冷地では寒さで凍って腐ってしまうことがあるため、根元には籾殻や藁を敷き、土寄せして株元を安定させます。

隔離採種での交配

冬を越した母本は、春に気温が高くなると花茎を伸ばし開花が始まります。花茎の上部は分枝し、枝先に房のように花をつけます(総状花序といいます)。主茎の先端から開花が始まり、側枝へと順に開花します。開花期間は30日前後です。

ダイコンの花

ダイコンの花

網室で隔離栽培する場合は、虫媒性なので花粉を媒介する昆虫がいないため結実が悪くなります。そこで、掃除用のほこり取り(ハンディモップ)を使って、1~2日おきに網室内の開花した母本をなでるようにゆらし、花粉を飛散させて受粉を促します。この方法は、開花期間中の晴天の午前中に行います。

刈取り

開花が終わり莢が大きく膨らんでくると、株全体が黄色味を帯びてきます。開花期から60日目くらいが刈り取り適期です。早いと種の充実が悪く、遅れると穂発芽するので注意します。

刈り取ったダイコン

刈り取ったダイコン

1株ごと鎌で地際から刈り取ります。この時根が入ると土が混じって種の調整に手間がかかるので注意します。刈り取った株はビニールハウスや軒下につるして、10~15日ほど自然乾燥させます。

脱粒・乾燥・調整

十分に乾燥すると莢が薄黒くなります。手でもんで割れるようになったら脱粒します。

乾燥したダイコンの莢

乾燥したダイコンの莢

ブルーシートを敷いて、刈り取った株を広げて、刈り取った株を広げて棒で叩くか足でもむように踏みます。コンクリートの上などで直接強く踏みつけると種が割れるので注意します。脱粒した種はまだ水分を含んでいるので、薄く広げて2~3日天日乾燥します。種に混ざっているゴミは唐箕やふるいで除き、細かいゴミはステンレス製のザルを使ってふるいます。

ダイコンの種

ダイコンの種

品種にもよりますが、6mm程度のふるいで莢のかけらなどを、3mm程度で細かいゴミを取り除き、色が黒かったり、割れて黄色になった種を除いて精選します。

保存

湿度が高いと発芽率が低下するので、乾燥剤と一緒に密閉容器に入れて冷蔵庫で保存します。ダイコンの種は比較的長命なので、低温・乾燥状態を維持すれば4年程度は高い発芽率を保ちます。

自家採種
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