ナスの自家採種

乾燥したナスの種 自家採種

ナスの概要

ナスの来歴

ナス科ナス属。

原産地として考えられているインド東部の熱帯雨林地帯は、日本と同じモンスーン地帯の気候ですが、冬でも18度以上あり、多年性として生育しています。日本への渡来は大変古く、遅くとも7~8世紀には中国から渡来し栽培が始まったと考えられています。ナスは日本の風土と食習慣に根差した野菜で、多様な地方品種があります。日本海側の東北日本で小丸タイプ・早生種として分化していった一群と、西南暖地に土着して分化していった長ナス・晩生系の一群があります。更に、これらが混じり合って、関東から中国地方にかけて卵形から中長形の品種が分化したと考えられています。北陸から関西には丸ナス品種が多く分化しています。

栽培・採種している品種

私が栽培・採種している品種は、長卵形~中長ナスが品種不明(地元の農業委員会の方からもらった苗から採種したもの)、丸~巾着形ナスが信越水ナス(自然農法国際研究開発センター)です。

ナスの自家採種

受精方法・交雑の注意点

ナスは自殖性作物ですが、10~20%の自然交雑がみられ、他殖もします。従って、単一品種を採種するのであれば問題ありませんが、異なる品種を同じ畑で採取するのであれば袋がけします。私は同じ畑では単一品種しか栽培しないようにし、自殖に任せています。

母本選抜の基準

ナスでは1果当たりの種の量が多いため、家庭菜園では1~2株ほど選抜して採種します。採種果の基準は以下の通りです。

  • 定植後の育成がよく、アブラムシがつかない、またはアブラムシがついても育成が停滞しない株
  • 肥料を控えて栽培し、採種果の負担に負けず最後まで健全な生育を示す株
  • 着果性、果実の形、色、大きさ、果皮や果肉の硬さ、肉質、食味などが、品種固有の特徴を持った株(特性は互いに関連しているため、全てがよいものはない)

採種と保存

収穫までの管理

採種果の収穫時期は、着果後50~60日が目安です。採種果の着果は、冷涼地で8月初旬、温暖地では8月中旬が目安となります。1果当たりの採種量が多いため、採種果は1~3個つけます。採種果をつけたら、充実した種をとるためにそれ以外の花や果実は定期的に摘んで、樹勢を強くします。

収穫・追熟

着果後50~60日経って紫色が抜けて黄褐色になり、一時固くなったのが少し軟らかく弾力をもつようになった完熟果を収穫します。収穫した果実内の養分を種に転流させるため、雨の当たらない日陰で2~3週間ほど常温で追熟します。完熟したナス

種出し・水洗い・すすぎ

皮を破らないように果実をもみ込みます。果実を切り開き、容器の中でもみ込んで軟らかくなった果実から種を水中にもみ出します。ナスの水洗い

浮いたしいなや果肉などは洗い流し、水が透明になるまですすぎ洗いをして沈んだ種を採種します。すすぎ洗いしたナスの種

乾燥

水気をよく切り、風通しのよい場所で天日干しをして十分乾燥します。天日乾燥後、3日ほど風通しのよい日陰で乾燥させます。乾燥したナスの種

保存

ナスの種は長命なので、低温・乾燥状態を維持すれば、4~5年程度は高い発芽率を保つことができます。

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