食用栽培と採種栽培

完熟キュウリ 家庭菜園
完熟キュウリ

野菜の生育ステージ

作物によって収穫する生育時期が違います。収穫時期を幼苗期、伸長期、茎葉繁茂期、成熟期に分類した生育ステージを以下の表に示します。

生育ステージ 幼苗期 伸長期 茎葉繁茂期 成熟期
生育段階 体質決定 根系・草姿決定 生殖相に移行 種子の充実
収穫する主な作物 カイワレダイコン、モヤシ等 葉菜類(コマツナ・ホウレンソウ・チンゲンサイ等)、根菜類(ニンジン・ダイコン等) 未熟な果菜類(キュウリ、ナス、ピーマン、オクラ、サヤインゲン、スイートコーン等) 完熟した果菜類(トマト、スイカ、メロン、カボチャ、イチゴ等)、イモ類、豆類(ダイズ、アズキ等)、穀物(コメ、コムギ等)

穀物や豆類といった種子を食べるもの、完熟した果実を食べるものは成熟期に収穫します。果実の肥大途中に収穫するキュウリやナス等は茎葉繁茂期に収穫します。コマツナ等の葉菜類やニンジン等の根菜類は生育初期の伸長期に収穫します。

採種栽培は種が目的なので、成熟期まで育てる栽培となります。成熟期で収穫する作物は種も同時に育てますが、それ以外の作物は成熟期前に収穫をするため、成熟期まで育てないと種は採れません。

葉菜類と根菜類は成熟期までが長い

葉菜類や根菜類は種子を採るまで非常に時間がかかります。

ニンジンを例として挙げると、種を蒔いてから90~110日程度で収穫できます。これは果菜類の育苗する期間に相当し、ニンジンの収穫期が果菜類の定植時期ということになります。ニンジンは、その後越冬して抽苔、開花、結実、登熟という生育ステージを経て、採種が可能になります。種を蒔いてから成熟期までは、ほぼ1年かかります。

ニンジンの花

これはキャベツ等の葉菜類も同じで、越冬させて翌春に開花・結実して採種するので、栽培期間は果菜類に比べると長くなります。

そのため、食用収穫までの育て方が、その後の生育に重要な意味を持ち、種の収量や品質に影響を与えます。肥料を控えてじっくり育て、適度に間引きし1本1本を充実させたニンジンと、一般の食用栽培と同じように栽培した栄養過多のニンジンでは、花茎の太さや花笠の大きさが違います。なお、種を採るために栽培する株のことを「母本(ぼほん)」とよんでいます。

採種栽培では種を鍛える

採種栽培では、作物の一生を通して健全に育成させ、優良な種をつけ完熟させるという視点から栽培を見直す必要があります。少肥や無農薬など、種を鍛える栽培管理がその種の体質を決める要因となります。甘やかさず、いじけさせず、やや厳しく育てることがポイントとなります。

見た目や味も大事

強い株を選ぶことは大事なことですが、同時に見た目(形)や味にもこだわらないと、商品価値が下がってしまいます。そのためには、強くてかつ美味しく、美しい形の母本を選んで種子を採らなければいけません。自家採種では成熟期まで育てるため、良い母本を選んで採種することは非常に重要な技術です。一番いい実や株から種を採りましょう。

関連記事:家庭菜園トップページ

コメント