ピーマンの自家採種

乾燥したピーマンの種 自家採種
乾燥したピーマンの種

ピーマンの概要

来歴

ナス科トウガラシ属。

トマトやジャガイモと同じ、中南米原産の熱帯地方の野菜です。辛味のない甘いトウガラシの中果系をピーマン、辛味がない小果系をシシトウ、辛味がない大果系をパプリカ、辛味がある小果系をトウガラシと区別しています。トウガラシの中には、辛くない甘トウガラシもあります。

日本では小果系のシシトウやトウガラシが古くから栽培されていました。明治から戦後にかけて大果系が導入されましたが定着せず、昭和30年頃から食生活の洋風化とともに、中果系のピーマンが主流になりました。

栽培・採種している品種

私が栽培・採種している品種は、中果種の自生えピーマン(自然農法国際研究開発センター)のみです。

ピーマンの自家採種

受精方法・交雑の注意点

ピーマンは自殖性作物ですがナスより交雑しやすいので、自殖で採種するには、異品種との交雑を避けるために隔離して栽培するか、袋がけを行います。私は単一品種しか栽培していませんので、自殖に任せています。

母本選抜の基準

ピーマンは1果当たりの採種量が少ないのと、着果期間が長いため採種果が腐敗しやすいので、採種には2~3株あった方が安心です。採種果の基準は以下の通りです。

  • 定植後の育成がよく、アブラムシがつかない、またはアブラムシがついても育成が停滞しない株
  • モザイク病に弱く種子伝染するため、症状が出た株は抜き取る
  • 株元の茎が太く、側枝が多い株
  • 肥料を控えて栽培し、採種果の負担に負けず最後まで健全な生育を示す株
  • 着果性、色つや、大きさ、果皮や果肉の硬さ、肉質、食味など、などが、品種固有の特徴を持った株(特性は互いに関連しているため、全てがよいものはない)

採種と保存

収穫までの管理

採種果の収穫時期は、着果後50~60日が目安です。採種果の着果は、冷涼地で8月初旬、温暖地では8月中旬が目安となります。品種特性や草勢にもよりますが、1株当たり10果ほどの着果を目安にします。草勢が弱ると落花が多くなるので摘花の必要はありませんが、草勢が弱っているときは早めに幼果を摘果して株の負担を軽くします。

収穫・追熟

採種果は、着果から50~60日で赤色あるいは黄色に熟します。

ピーマンの採種果

完熟させてから採果しますが、秋の気温低下によって中々熟さない場合は、霜が降りる前に採果します。完熟した採種果は5~7日程度、日陰で追熟させます。完熟前に採果は、赤くなって果皮がしわしわになるまで、暖かい場所で追熟させます。

種出し

果実を割って種をかき出します。

ピーマンの採種果2

トマトやナスと違い水洗いせず、ただちに乾かします。なお、トウガラシの種を採るときは、辛み成分が飛散して目やのどや手が痛くなるため、種をとるときは換気をしてマスクやメガネ、ゴム手袋を着用して作業します。

乾燥

種は1~2日程度天日で干し、風通しのよい場所で十分に乾燥させます。

ピーマンの種

保存

種は乾燥剤と一緒に密閉容器に入れて冷蔵庫で保存します。低温・乾燥状態で3年程度は高い発芽率を維持できます。

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