ニンジンの種まきから自家採種まで

ニンジンの種 自家採種
ニンジンの種
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ニンジンの概要

来歴

セリ科ニンジン属。

原産地はアフガニスタンのヒマラヤの山麓といわれています。そこから西の伝播したヨーロッパ系のニンジンと、東に伝播した東洋系のニンジンがあります。日本には、16世紀後半頃に東洋系のニンジンが、19世紀頃にヨーロッパ系のニンジンが伝わりました。現在は、東洋系の金時ニンジンが京野菜として一部の地域で栽培されていますが、栽培・流通・販売しているニンジンはほぼヨーロッパ系の五寸ニンジンです。

生育特性

一~二年生で、春や秋の冷涼な気候に適しています。周年栽培されていますが、春に種をまくと抽苔しやすいので、春にまく場合は春まき用の種を購入してください。夏(梅雨頃)に種をまき、秋~冬に収穫したものが旬となります。そのまま畑で冬を越すと初夏に抽苔して花を咲かせ、夏に種をつけます。6月に種をまくと翌年の7月頃に採種なので、1年以上かかってしまいます。

私が栽培・採種している品種

一時東洋系の本紅金時を栽培したことがありますが、根が長くて私が管理している粘土質の畑を深く耕起するのが大変だったので止めました。現在は筑摩野五寸(自然農法国際研究開発センター)のみです。

 

ニンジンの種まきから収穫まで

タネまき

70cm幅のうねに15~20cm間隔で浅い溝を3本作り、タネをすじ播きして軽く土をかけます。発芽までは非常に乾燥に弱いため、雨上がりで土が湿っているときか、たっぷりと水やりをしてから種を多めにまきます。乾燥しやすい場合は、ワラ、籾殻、枯れ草、新聞紙などで覆って、上から水をかけておきます。覆ったものは発芽後に取り除いてください。

育て方

本葉が7枚くらいまで(発芽後50日程度)は乾燥に弱いので、土が適度に湿るように水やりをします。水やりは気温の低い朝か夕方に行います。

混みあうと生育が悪くなるため、順次間引きを行います。1回目は発芽がそろった頃に混みあった個所を、2回目は本葉が2~3枚の頃に3cm間隔になるように、3回目は本葉5~6枚の頃に7~8cm間隔になるように間引きます。

ニンジンの肩が張ってきたら収穫適期です。根が肥大したものから順次収穫します。収穫が遅れると根割れを起こすので注意してください。

根割れしたニンジン

 

ニンジンの自家採種

受精方法・交雑の注意点

ニンジンは雄ずい先熟で、雌ずいより3~4日早く花粉ができる他家受精作物です。50株程度のニンジンを集団で採種栽培していれば、生命力の強い種を採り続けることができます。家庭菜園レベルでは50株は厳しいと思いますので、それでも最低15~20株の母本は準備したいところです。

母本選抜の基準

選抜の基準になる主な形質は、根形、根重、根長、根色、芯の色と太さ、早晩性、抽苔性などです。注目すべき点を説明します。

健全な株

間引きの際に、病虫害などで生育の悪い株を優先して間引きます。病虫害はなにかしらの問題がある株に出ることが多いので、収量や品質をチェックする前に、病虫害のない健全に育った株を対象に母本を選びます。

早晩性

早晩性は根のしわの多少と尻のつまりを基準に選びます。根の先端まで肉付きがよくしわが無ければ早生で、しわが多く先端が細ければ晩生になります。通常は収穫適期に抜き取って母本選抜をします。一方で、収穫適期より早めに抜き取り、太りの早いものを選抜すれば早生になります。逆に、遅く抜き取ってちょうどよい大きさのものを選抜すれば晩生になります。

根部

根形はずんぐり型やのっぽ型のように、品種固有の長さと太さとのバランスがあり、それを基準に選びます。根色が濃い方が芯の色も濃い傾向があります。

草勢

葉軸が太く肩の張るものを母本に選ぶと草勢が強く少肥向きになり、葉軸細く円筒形のものを選ぶと草勢がおとなしく多肥向きになります。また、葉軸の太さと芯の太さは関連しており、葉軸が太いと芯も太くなりかたい肉質になります。逆に、葉軸が細いと芯も細くなりやわらかい肉質になります。

母本の掘り上げと選抜

収穫期に入ったら掘り取り、太り具合をしらべます。畑の中で最も平均的な畝から50~100本くらい、それほど数が無ければ全てを抜き取り、根長が長く太りのよいものから順番に並べます。その中で極端な長根と短根、残りを標準根とした三つのグループに分けます。標準根が最も本数が多いので、これを母本にします。このとき、裂根や淡色根、抽苔した株があれば除外します。

なお、草勢が弱く標準根の太りが悪い場合は、意識的に長根グループから母本を選ぶと太り性を改善できます。

掘り上げた金時ニンジン

掘り上げた筑摩野五寸

母本の移植と採種

母本の移植と管理

日当たりや風通し、排水のよい場所が適しています。開花期には草丈が背丈ほどに伸び、枝も多く発生するため、邪魔にならないよう畑のすみなどを選びます。

母本を選抜したら、直ちに移植します。条間60~70cm、株間30cmに根全体が埋まるほどの穴や溝を掘り、選抜した母本を垂直かやや斜めに植えます。

ニンジンの移植

写真は株間が短いので、もう少し間をあけてください。このとき、葉を切って植えても構いません。浅く植えると寒さで凍って腐ってしまうことがあるため、根元には籾殻や藁を敷き、土寄せして株元を安定させます。

移植したニンジン

越冬中に強風で土が飛ばされ、母本の肩部が露出すると凍害を受けるので、越冬中は何度か見回りをして、首元を踏圧して土寄せします。春先は気温の上昇に伴って新芽が出始めるので、覆土が厚いところは土を取り除いて新芽の緑化を図ります。

整枝

ニンジンは、主枝の頂花と、主枝の葉脇から伸びた子枝、孫枝、ひ孫枝のそれぞれに花をつけます。

ニンジンの花

開花は5~6月頃で頂花が最も早く開花し、子枝は頂花の開花が終わる3~4日前に開花を始めます。種の大きさは主枝の頂花が最大で順次小さくなり、発芽率は頂花と子枝がよく、孫枝になるにつれて低下していきます。そのため、枝の整理をして主枝の頂花と子枝から種を採るようにします。その場合、主枝と子枝を合わせて3~6本残し、それらが開花した頃他の子枝や孫枝、ひ孫枝はハサミで切り落とします。株元から発生した子枝も元から折れやすいので切り落とします。残した子枝から発生した孫枝、ひ孫枝も元から切り落としますが、草勢が弱い場合は花だけ切り落とし、葉を多く残します。

刈取り

ニンジンの開花期間は1ヶ月ほどにわたり、開花後40~50日で登熟になります。刈り取りの目安は、花がきつね色になったころです。早めに暗褐色になったものは不完全な登熟で発芽率が悪く、枝葉が緑色を帯びて花だけがきつね色に熟するような生育をしていれば、発芽力の良い種が採れます。刈り取りは、花笠(ニンジンは枝の先端に小さい花が集まっており、これを花笠という)を手でなでて種が少し脱落する程度のものを、株元を10cmくらい残してハサミで切ります。

ニンジンの花笠

乾燥・調整

刈り取ったら、風通しのよい場所で2~3日陰干ししてから脱穀します。乾燥しすぎると花枝が種と一緒に落ちて調整に手間がかかるので、花笠が生乾きのうちに脱穀します。脱穀は、洗濯板や目の粗いふるいを逆さまにして、その上で種をこすり落とします。脱穀した種は、屋内の風通しのよい場所で、薄く広げて陰干しして1週間ほど追熟します。その後1~2日程度、天日乾燥してから洗濯板の上でもみ、種の毛を落としてからふるいや唐箕にかけてゴミを取り除きます。

種は採種後1~3ヶ月程度休眠します。品種によっては種の周りについている毛に発芽抑制物質が含まれていることがあるので、毛がまだついていれば、種まきの前に手でもんで取り除きます。

保存

ニンジンの種は2年ほどで発芽力が低下する短命種子です。種の水分が多いと発芽力が低下するため、保管する場合はよく乾燥して、乾燥剤と一緒に缶に入れて冷蔵庫で保存します。

自家採種
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